往来物に含まれる「魚字尽し」研究メモ

○その1―往来物「魚字尽し」の一例

 

12―正徳6年『童子字尽安見』(小泉蔵本)―ドウジジヅクシアンケン

 

もくじ12/001-002|12-003|12-004

 

003-01  02へ

生海鼠

 

 

はまち

ゑそ

たちのうを

金魚

 

 

銀魚

きんぎよ

醤鰕

 

うぐい

いしふし

鰊鯑

かずのこ

 

 

 

どちやう

あご ぎんぎよ

 

 

海糠

土肉

せいご

あら

梭魚

 

かます  

    

もろこ

するめ

から

すみ

金線魚

 

と より

海鼠腸

 わ

あめのうを

さば

たら

かさご

このしろ

かなかしら

 

海牛魚

すゞめうを

 

ほうぼふ

方頭魚

いわし

煎海鼠

 

雑喉

鮟鱇

あん

こう

蝦蛄

 しやこ

 

 

うみごい

ぶり

このしろ

 

氷魚

うを

いさゝ

ます

 さわら

 

めばる

 

いなだ

とびうを

たこし

はらか

にしん

 

 

 

 

   

 

 

 

 

〔注〕12-003-01-1(5) 金線魚はイトヨリダイのこと。原本影印の金は、「食線魚」と金を「食」と書いているが、「金」として翻刻した。

〔注〕12-003-01-3(10) アコは、後に記される「アゴ」01-5(5)があり、「アコウ」=「アカウオ」のこと。緋色の赤を指して使い赤魚。【書言字考節用集(享保2年版)】巻第五気形門(79−5) 緋魚アカウ。【和漢三才図会】緋魚あかお〔赤魚俗。俗に阿加乎、また、略して阿古〕。

〔注〕12-003-01-6(5) 訓みに「もろこ」という邦名を与える魚偏のツクリの字形は「卯」(ボウ・う)に見えるが、これによって作られる魚偏の字形は、思いつかない。日本魚名集覧に、「水産俗字解」「水産名彙」を引いて、[魚+卯]=モロコ・ヌメラ(「水産名彙」)、[魚+卯]魚=モロコ(「水産俗字解」「水産名彙」)とするが、はたしてこのような ツクリの字体として読んで良いのか。要検討。あてずっぽうだが、「鮒」「魚+〔皀+卩〕」「魚+必」「魚+列」……。

 

 

003-02    01へ戻る

竹魚

 

笹なかれ化して魚と成ル 山中の谷川におり
ちくぎよ

 。

いりゑび

ひれ

すし

にんぎよ

ほしか

ごんぎり

 

ゑら

なます

ひもの

 

あいきよう

 刺鯖

 。

さし

うをのわた

 。

しおから

九万疋

うぐい

さば

なまぐさし

あさらけし 熨斗

  。

くら

いゝ

だこ

氷頭

くさりうを

からざけ

 

あるゆへかくいふ 鯉のいをうろこ三十六枚

ろく/\/\ぎよ

さがる

 。

きすご

松魚

 

 

字正

かつを
蒸鰈

むし

めうを

ほしうを

注  

うぐい
  がれい

おうを

魚刺

さしみ

鱠殘魚

 

ゑい

塩曳

しほびき

しをから

ひらめ

海馬

かい

干鰯

ほしか

海蛇

とう

くらげ

うをのこ

鰹節

かつをぶし

うをのほね

その残りを水中に捨る化此魚

呉王江河に往て魚膾を喰ふ
 麪條

しろうを

 

うろこ

烏賊

しいら

 

 

 

   

 

 

 

 

〔注〕12-003-02-1(4) * ツクリがよくわからない。ウグイにあたる魚偏漢字のツクリは[完]か[蚤]。蚤のように思えるが断定できない。要検討。

〔注〕12-003-02-1(7) * ツクリがよくわからない。ウグイとあり、1(4)と重複する字体のようだが、そうでない気もする。要検討。

〔注〕12-003-02-3(6) キサゴのことであろう。螺子・海細螺(シタダミ)。【物類称呼】細螺 きさご。中国にて、いしやらがいといふ。以下略。

〔注〕12-003-02-4(3) 要確認。[魚+延]かもしれない。

〔注〕12-003-02-6(2) [分]と読んだ字は、これでよいか要確認。ツクリ「分」 の崩し字のバリエーションに含まれそうだが、他字の可能性もある。ツクリ「假」の略字形「仮」の崩しのようにも、あるいは、「介」にも読める。「いりゑび」の同字形は、「筆海俗字指南車」13-003-02-2(5)、および「早引文字通」26-004(2)にも見える。

〔注〕12-003-02-6(3) 「刺」の字は、影印の字形では、[指(旨→朿)]あるいは[指(旨→交)]と読めるが、このような字は見当たらない。刺の書き間違いか?。「筆海俗字指南車」13-003-01(8)には、「刺鯖」とある。

〔注〕12-003-02-7(3) 割注の「鯉の**うろこ云々」**が読めない。「鯉のうを」でよいのか。

 

もくじ12/001-002|12-003|12-004

 

 

本サイトは、往来物に含まれる「魚字尽」の主要なものを、小泉吉永氏のご協力により、小泉吉永氏所蔵及び往来物データベースに含まれる図書館・大学・個人蔵の原文複写画像からMANA(中島満)によりできるだけ忠実に翻刻しネット上で活字に写したものです。類似研究資料がなく、小泉吉永氏や関係者に翻刻内容や注釈内容についての意見交換をするためにネット上にのせたもので、すべて未定稿であり、メモとしてのせているもので、内容は毎日変更があります。このため、内容テキスト及び画像の一部利用、複写、リンクはすべて禁止といたします。

copyright 2002〜2004,manabook-Mitsuru.Nakajima 


 HOME 真名真魚字典