いんたーねっとうをじづくし今様魚字尽


往来物に含まれる「魚字尽し」研究メモ

○その1―往来物「魚字尽し」の一例

 

7―元禄2年『節用字纂往来』(神宮文庫蔵本)

 

もくじ7/001〜004|7/005(01-02)|→7/006(01-02)

 

7-005-01

はまくり

 

 

かつほ

かれい

しやちほこ

がうな

いるか

はす

かいらげ

にな

するめ

このしろ

すゞき

くし

帆立貝

ほたてかい

栄螺

さゝえ

海馬

あしか

 

こち

なよし

さめ

まて

ふり

ゑび

あぢ

さめ

馬刀

さば

くらげ

ゑい

わに

いしもち

かき

あわび

たい

はむ

はまくり

いか

とびうを

〔注〕005-01-1(1) [髄(骨→魚)](13画)の用例は少ない。本書の記載は、何を出典としてシャチホコと訓ませる漢字を作ったのか要検討。参考:真名真魚字典[髄(骨→魚)](13画)

〔注〕005-01-1(2)  だろう。「鮫」に似るが01(6)に鮫があり、別字とわかる。「かいらげ」を「かいらぎ」と訓みを与える字は、鰄だが、これはあたらない。

〔注〕005-01-2(3) 鱸(すずき)の省略字体。

〔注〕005-01-2(5) [魚+齊]をナヨシ(ボラ)と訓ませる用例は少ないが、【倭玉篇(夢梅本)】第二百八十一魚部(1086)及び【倭玉篇(慶長十五年版)】魚部第三百四十六(408)に、[魚+兌’]がのり、いずれも、タツ(訓み)・ナヨシ(名)とする。タツが、タチウオの[此/魚]=[魚+齊]とのかかわりから、タチウオ⇔ナヨシのつながりができたとMANAは考えているのだが、こじつけに過ぎないか。検討を要する。真名真魚字典[魚+兌’]に若干説明を加えておいた。だが、[魚+齊]をナヨシ=ボラとよませるのには、相当の無理があるといわざるを得ない。

〔注〕005-01-3(5) 蜆を「ゑび」と訓む用例は少ないが、【下学集(元和3年板)】気形門第八(28ウ-6)に「蜆エビ」がある。下学集が、他字では、同名の異体字を並べて載せているのに、「蜆エビ/貝カイ/蛤ハマグリ蚌」を載せたあと14字あとに、「鰕エヒ」をあげている。一般的なシジミの訓みを与える漢字は下学集にはないことも参考としてあげておこう。

〔注〕005-01-3(6) [虫+宅]の用例も少ない。蛇に1画増やした字体であり、蛇の書き誤りか。クラゲの訓みと蛇の字とのかかわりを記し、ツクリに「宅」を書き、「它」の字として解釈している用例をあげておこう。【本草和名(寛政版)】海月{―略―}/凝月{―略―}/一名水母{水母者[虫+宅]名形如覆―略―出崔禹}/和名久良介。日本古典全集第一回版本の陰影には、明らかに「虫+宅」とあるが、【古事類苑】では、「蛇」として翻刻している。参考まで記す。

〔注〕005-01-3(9) *[魚+@] は、@=月だが不明。「イカ」と訓ませているが、おそらく、元字を草書体として作ったときの省略形を読んで充てた字形だろう。ツクリ「羽」「朋」の変化について要検討。真名真魚字典[魚+月](4画)で、用例含めて検討を加えた。

〔注〕005-01-4(3) 「鰾」は魚のウキブクロのこと。魚名ではニベを指す場合がある。鰾に「するめ」の訓みを与えているとすれば、[虫+票]=@に充てて、本草で使用する「海@蛸」カイヒョウショウ、つまり「イカの甲」「イカの骨」から、きているのであろう。

 

7-005-02

用意

みきの

 

 

とをり

 

 

 

よう

 

 

つかまつりをきそうろう

さけ

ます

いわし

かまつか

このしろ

あゐ

すはしり

たこ

かます

うきかめ

しび

海月

 

 

 

なます

こい

しろうを

うなぎ

ふな

白魚

海老

 

 

どぢやう

あめ

鮟鱇

あん

 

かう

水馬

 

 

このほか

 

めつらしき

老海鼠

 

 

 

〔注〕005-02-1(4) [魚+取]=ソウ・白魚(真名真魚字典8画参照

〔注〕005-02-2(5) 影印のツクリは、翻刻表記の「符」にも「[符(竹→クサカンムリ)]」にも読める。あるいは「府」でも大きな間違いではなさそうだが、一般的に使用頻度の高い「符」とした。何れも「鮒」のツクリの訓み「フ」をあてた字体。

 

もくじ7/001〜004|7/005(01-02)|→7/006(01-02)

 

本サイトは、往来物に含まれる「魚字尽」の主要なものを、小泉吉永氏のご協力により、小泉吉永氏所蔵及び往来物データベースに含まれる図書館・大学・個人蔵の原文複写画像からMANA(中島満)によりできるだけ忠実に翻刻しネット上で活字に写したものです。類似研究資料がなく、小泉吉永氏や関係者に翻刻内容や注釈内容についての意見交換をするためにネット上にのせたもので、すべて未定稿であり、メモとしてのせているもので、内容は毎日変更があります。このため、内容テキスト及び画像の一部利用、複写、リンクはすべて禁止といたします。

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