いんたーねっとうをじづくし今様魚字尽


往来物に含まれる「魚字尽し」研究メモ

○その1―往来物「魚字尽し」の一例

1―寛永21年(頃)『魚字づくし』

    ◆魚字づくし(仮称)(うおじづくし) [0153] 【作者】不明。【年代】江戸前期刊。刊行者不明。【分類】語彙科。【概要】異称『魚字尽』。中本一冊。書名は本文冒頭記事の題名による。一部『童学万用字尽』と似た体裁で同様の記事を含むが、全くの異本。本文を大字・四〜五行・付訓(各漢字の音訓を左右に付す両点形式)で記す点も『童学万用字尽』と異なる。集録語彙(小字並記も含む)は、「魚字づくし」が114語、「万木の名」が115語。また、後半に「篇并冠之事」「七ッいろは(仮名二体と漢字六体、古文字イロハ」等を付す。漢字の音訓が相対的に詳しい)」「大日本国尽(日本六十余州并二嶋字尽)」を付す。以上のうち「七ッいろは」に代えて「名字」を掲げる異本もある。なお、筑波大本には「享保八歳九月」の書き入れがある。〔(c)小泉〕【所蔵】学芸大(「古板文字づくし」)・筑波大。 (小泉吉永さんの了承をいただき「往来物倶楽部」「往来物解題事典―往来物データベース」より 引用しています。)

 

○参考 学芸大学・望月文庫蔵本「古板文字づくし」 画像リンクはhere

魚字尽考関連年表

もくじ|1/001|→002

 

1-001-01

さい このしろ  

をくじら

くじら  

てう

たい  
せい

     

魚字づ

 

 

 

ぶり やう

ふか せつ たら
       

 

       
そう かます はん

はまち そん ます
       

     
判読不可 せいご しやく

いはし そん
ひつ
       

 

       
判読不可 しいら しゅん

さはら せひ さば
       

 

       

1-001-02

にしん  

 

 

いさ

 

はむ

 

 

         

 

どう
あさり をう

いしふし かいらぎ

しん

ゑい

  注↓    

 

           
せい たちうを よう

とひうを

しよう

たこ

ぼら

なよし

れつ

               

はら

ゝこ

きよ

あご

らう

きやう

しろうを

       

 

           

けい さけ かう

さめ わう しび

こん

判読不可
       

 

             

〔注〕1-001-02-4(3) [兌]の字とするか、[乞]とするか、あるいはこの2字のほかの別字であるかはさらに検討を要する。原文のツクリの崩し字は、すなおに読めば「乞」だが、この字ではタチウオにあてる字としては可能性が薄い。音ヨミを「せい」と与えているので、「乞」(コツ。コチ。)では、明らかにおかしい。原文編著者(筆記者)が、このマスでは、邦名、タチウオにあたる字体を書こうとしているのは、2列目の同字に「[列]」(音ヨミ「れつ」)を採用していることからあきらかである。し たがって「[兌]ダツ」でよいであろう。崩し字解読辞典のような教科書の「兌」を含む字体の用例にてらしても間違いなさそうである。ただし、崩し字の書体の左ルビに示された「せい」の字は、見つからない。タチウオの訓みを与える音がセイの漢字は、[魚+齊](14画)か[此/魚](5画)だが、崩し字の書体とかけ離れている。[兌]については、真名真魚字典の下記ページ参照。字形の用例も多く載せておいたので参照願いたい。

http://www.manabook.jp/manamana-uohenkanji07.htm#0701-46146[魚+兌

 

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本サイトは、往来物に含まれる「魚字尽」の主要なものを、小泉吉永氏のご協力により、小泉吉永氏所蔵及び往来物データベースに含まれる図書館・大学・個人蔵の原文複写画像からMANA(中島満)によりできるだけ忠実に翻刻しネット上で活字に写したものです。類似研究資料がなく、小泉吉永氏や関係者に翻刻内容や注釈内容についての意見交換をするためにネット上にのせたもので、すべて未定稿であり、メモとしてのせているもので、内容は毎日変更があります。このため、内容テキスト及び画像の一部利用、複写、リンクはすべて禁止といたします。

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