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MANABOOK NEWS LETTER


MANABOOKの刊行予定や、発行本の書評掲載の紹介、あるいは編集子の編集ノートを適宜まとめたものです。MANAの本の内容について、さらに関心を持たれて、詳細を知りたいというかたは、お読みください。                          MANABOOKTOP

 第1号(2000年1月)第2号(2000年5月) 第3号(2001年5月) 第4号(2002年9月)    

◎第1号 2000年1月 特集・『共同漁業権論』と著者・浜本幸生

 1999年11月に発行した「共同漁業権論」を紹介した書評と、発行を見届けるように亡くなった著者浜本さんへの追悼文及び業績集を掲載した。

――なお掲載文中、執筆者のある原稿にリンクさせた注釈・解説は、すべてHPオーナーによるものであることをおことわりしておきます。――

 


も く じ

「なぜいま最高裁判決批判の書なのか」 編集子

書評「共同漁業権はほんとうに入会的性質を失ったのか」 佐竹五六

追悼/朝日新聞「惜別」より 篠島真哉  

追悼/浜本幸生さんのこと 熊本一規

「資源の保護管理は誰のためにするのか 編集子

「浜本幸生氏業績集」 田中克哲・中島満


  浜本幸生著『共同漁業権論―平成元年7月13日最高裁判決批判』

いま、なぜ最高裁判決批判の書なのか

 ――編集子の「つぶやき」その1

 漁業法及び漁業補償の長い実務経験に基づき浜本幸生氏が、この10年間を費やして1冊の意欲的大作をまとめた。タイトルは『共同漁業権論』。副題に「平成元年七月一三日最高裁判決批判」と付けられている。

 10年以上も前の最高裁判決について、850余頁をさき、判決の問題点を指摘し、漁業法制度の根幹を成す共同漁業権の立法趣旨、及び漁業協同組合が漁業権を有するときの法律的な性質、漁業補償における補償金の帰属と配分などについて、正当かつ実務解釈を精緻に述べながら、逐一検討を加えた「浜本漁業法・漁業補償」解釈の集大成ともいえる書といえよう。

「平成元年7月13日最高裁判決」とは、大分市白木漁業協同組合(現在は合併し大分市漁業協同組合)に、国道拡幅にともなう補償として昭和50年、一括して支払われた漁業補償金の配分を決める組合総会の決議をめぐる所属組合員(原告)と漁協(被告)との訴訟事件のことである。氏の監修・著『海の『守り人』論』所収の「浜本幸生の漁業権教室―漁協合併と漁業権」では、次のように「判決要旨」と「判決理由」をあげている。  

*

 [判決要旨]=現在の共同漁業権は、昭和37年の漁業法改正によって、古来の入会漁業権とはまったく性質が変わっており、漁民の総有ではなく、法人としての漁業協同組合に帰属する。補償金の配分も漁民の全員一致ではなく、漁協の総会決議によって決めるべきである。

 [判決理由]=昭和37年の法改正後の漁業法第8条では、組合員が漁協が定める漁業権行使規則に規定された資格を有する場合に限り、当該漁業権の範囲において漁業を営む権利を有するものであって、組合員であっても漁業権行使規則に定める資格要件を満たさないものは、漁業行使権を有しないものとされ、全組合員の権利という意味での各自行使権は今や存在しない。したがって、共同漁業権は、古来の入会漁業権とはまったく異なり、共同漁業権が法人としての漁業協同組合に帰属するのは、法人が物を所有する場合とまったく同じである。  

*

 浜本氏は、この判決に対し、すでに前掲『海の『守り人』論』において判決の問題点を指摘している。その指摘を、ごく簡潔に記すとすれば、最高裁判決は、「共同漁業権の立法趣旨」の正確な理解を欠いているばかりか、地先海面における入会関係の法的な表現(「海の入会権」と呼ぼう)について、もっとも基礎的かつ重要な漁業法における「共同漁業権の定義」、「漁業権は物権とみなす」、「組合員の漁業を営む権利の侵害者に対する罰則」の各規定や、水産業協同組合法の「組合の目的」規定を脱落させて、判決の前提となる漁業法の制度としていることなどをあげ、こうした判決の前提となる理解だけでなく、詳細を検討すればするほど、信じられないほどの誤りに満ちた内容の判決であるという。

*

 いまになって、なぜ、「最高裁判決批判」の書なのか。

*

 氏も本書「はじめに」に記しているように、沿岸漁業の位置付けや、制度の根幹に大きな影響を与える重要な判決であったはずだが、判決が出されてから10年以上の日時が経過しているにもかかわらず、「本判決に対しての批判がさして見られないことから、行政庁におかれては、漁業法の解釈、運用において誤りなきことを願い、かつ、最高裁判所当局におかれては、速やかに本件判例を変更されることを望む」というところにある。正当なる理解と論理の積み上げで導き出された解釈によって、結果的に不都合が生まれる場合には、論争や裁判によって決着をつけようということになんの異議をさしはさむものでもなく、また、法治国家である以上しごく当然のことである。

 しかし、地先海面の利用関係の法律的表現である共同漁業権や地先海面の慣行について考えるとき、本書中、浜本氏がくり返し指摘する、判決にいたるまでの前提となる、これらの基礎的かつ根幹となる漁業法制度の明らかに誤った理解を、異説あるいは、こういう解釈もありうるものとして存在しつづけることは、到底容認することができないのである。浜本氏の友人のある元東京高裁裁判官氏は、浜本氏への書簡の中で、本論文を読了して、「天をも恐れぬ大論文」と書き、「海と陸の入会権の異動、慣習に支えられる法律関係の難しさに興味をそそられた」と感想を述べたという話を浜本氏から聞いた。  

*

 漁業制度改革による漁業法制定後50年、明治漁業法制定から100年たとうとしている現在、漁業界あげて「漁業基本法」(水産基本法)制定の運動を起こしている。基本法と漁業法とは、その目的とするところは異なるが、わが国における漁業の位置付けを、今後論議されなければならなくなってくるときに、沿岸漁業者と漁村、漁業協同組合と共同漁業権のかかわりと法律的性格に言及することが必ずあるはずである。さらには、広い意味で、漁業と国民とのかかわりと言い換えてもいいかもしれない。現実的に起こされる訴訟だけではなく、こうした、漁業内外の意見交換がなされる場で、海の利用と管理についての法律的性格が論議され、「平成元年7月13日最高裁判例」があるじゃないかというときに、その評価や判断をするのでは、間に合わないのである。

*

 国の中における漁業振興の位置付けをいっそう明白にさせ、強化が必要になるとともに、漁業法制度上の漁業権と、漁業を担う沿岸漁業者や漁村が現在まで維持し続けてきた地先海面の利用と管理の慣習の存在を主張し、さらに、国民からもこの存在を理解してもらうための、漁業界共通のスタンスをもまた持たなければいけないのではないだろうか。

 タイトルに、ひらがなが一字も入らない四角四面の分厚い枕にできるような本だが、「判決批判」の書でありながら、浜本幸生氏が実務家として蓄積してきた実践に裏づけられているために、漁業権や漁業補償に関心を寄せ、理解できないような課題が起こったときに、本書のなかに、かならずやその答えが含まれているであろう。本書刊行には消極的だった浜本氏に刊行を決意させた、一編集者の手前味噌の「つぶやき」である。

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   書 評  

共同漁業権は、ほんとうに「入会の性質を失った」のか

―浜本幸生著『共同漁業権論』を読んで

佐竹五六 (元・水産庁長官)〈現・魚価安定基金理事長〉さたけ・ごろく

*

 本書は、共同漁業権は「入会の性質を失った」とする最高裁判決(平成元年7月13日)の論理が、補償実務はもとより、漁協合併等にもたらす影響の大きさにかんがみ、昭和25年水産庁入庁以来退職まで38年間、終始漁業法に関する仕事についてきた著者が、実務家の立場から、逐一判決の妥当性を吟味し、具体的箇所と理由を示して、訂正を求めた書物である。  

*

 大学等で多少なりとも法律学=解釈法学を学んだものにとって、本書の著者浜本氏がつとに主張されていた「地先権」、すなわち、現実に漁村社会において機能している「社会的ルール」に基づく権利法例第2条)という観念は理解しにくいはずである。(同氏監修・著『海の『守り人』論』まな出版企画。80頁。本書では「漁民のいう共同漁業権」と表現されている。657頁。)

 その理由は、農地改革によって地主的土地所有が一掃されたように、漁業においても「現在の漁業権を全部いったんご破算にし、漁場そのものを白紙にかえし、これによって同時に漁業権の「所有」のみならず、「経営」にわたって強固に形成された封建的な諸関係の全体系をご破算にすることは、この改革にとって絶対不可欠の前提」(水産庁経済課編『漁業制度の改革』33頁)であるとして、漁業権買収のため多額の国費が投入され、漁業制度改革が実施されている以上、改革後の漁場利用関係は全面的に実定漁業法制によって規律されるべきであり、旧慣が存在する余地はないと考えられるからである。  

*

 しかしながら、他面多少とも、農山漁村にかかる行政の経験を積んだものであれば、中央における一片の法令の制定改廃によって、現実に漁業生産の現場である地先海面の利用関係を規律してきた社会的ルールを変更することが可能であるかどうか、容易に理解できるであろう。である以上、浜本氏が厳しく指摘されておられるごとく(本書・後記。772頁)、水産庁の担当官が「組合員の地位は、……いわゆる社員権的権利」などと、共同漁業権の権利の性質の変化について、行政官として言わずもがなの見解を述べたことは、軽率のそしりを免れないであろう。この解説が根拠となっているかどうかは知る由もないが、司法サイドにおかれても、すでに「我妻栄鑑定書」(本書第14章)が存在する以上、「共同漁業権は入会の性質を失い、組合員の漁業を営む権利は社員権的権利である。」(本書第23章)と、権利の性質を判断することについては、より慎重な検討が望まれた。(本書・後記。773頁)

*

 なお、若干蛇足を付け加えれば、浜本氏の舌鋒はもっぱら漁業法昭和37年改正関係者に向けられているが、その淵源は、漁業制度改革のあまりにも理想主義的観念的な発想にあるというべきであろう。明治漁業法の制定の検討に当たって、陸奥宗光農商務大臣が、「漁業上立法の要旨」として、「従来の慣習を参酌し、一方において漁民の利益利害を保護し一方においては水族の繁殖を図る」ため、「学理・実際ともに精確な調査を必要とする」とされた慎重さが、改革の実施に当たって必要であったのではなかろうか。(農地改革は大正末期の小作制度調査会以来の行政的蓄積の上に立って実施されたが、漁業制度改革について係る蓄積が存在したのであろうか。改革の企画立案に参画されたもと水産庁長官・久宗高氏から、筆者はしばしば明治漁業法のきわめて優れていること、これに反して戦後漁業法の性急な観念性についての反省をしばしばうかがった。)  

*

 浜本氏は、以上の問題を現場実務者の視点から冷静に見守り、とくに、昭和39年から43年の間、漁業補償係長として、高度経済成長下の埋め立て・干拓をはじめ、各種開発事業における漁業補償の実行過程をつぶさに観察、指導してこられた。漁業補償の実行過程では、霞ヶ関の観念的な法律論は通用しないであろう。事業を円滑に施行するためには、現実に漁村社会に通用している「社会的ルール」に忠実な補償を行わざるを得ないであろうことは、これまた多少とも公共事業にかかわったものにとって自明の理といってよいであろう。かくて、この現実に漁場利用関係を規律している社会的ルールを法的に評価し、実定法体系に位置付けないならば、各地で実行された漁業補償の法手続きと、その効果に問題を生じ、社会的大混乱が生じる法的可能性が現に存在しているのみならず、補償金の帰属等をめぐって漁協合併等への影響も懸念されたのである。(同書・第24章の(二)の2、同3。とくに656頁)  

*

 水産庁に勤務した上級職法経学士は、筆者もその一人であるが、「地元と摩擦を起こさないよう仕事をすすめてくれ」と、事業の進め方に対し、折に触れて事業主体あるいはその監督官庁に常識的な注文をつけるのみで、あえてこの問題に法的判断を示すことを避けてきた。現場に通じた浜本氏は、このような法的に不安定な状態を放置することに危機感を抱かれたのであろう。水産庁幹部があえて近づかなかった、この問題に敢然と立ち向かわれたのである。その回答が、前掲の『海の『守り人』論―漁業権と地先権』であり、本書である。

 しかも、浜本氏には、わが国、民法学の最高の権威、我妻栄氏というこれ以上ない強力な理論的支持者がついておられた。我妻氏の学風は、実定法の解釈に当たり、理論としての一貫性とともに、現実的妥当性を尊重されていた。法の適用・解釈に当たっては、常に法が機能する現場の情報収集につとめられたのである。であればこそ、漁業補償の実行過程のもつれから生じた事件に関し、裁判官の求めに応じて「共同漁業権」の法的性格等につき鑑定意見書を書かれるに当たって、各地の漁業補償の実体につきヒヤリングするため浜本係長のところへ二度も足を運ばれたのであろう。

*

 日本の司法・行政関係者は、何人も「我妻鑑定書」の重みを無視できないのではなかろうか。

*

 本書は、「そもそもは、水産庁の現職行政官に読んでもらうために書かれたものであり、」「共同漁業権に関する漁業法の各規定の立法趣旨、及び正当な学説のほか、水産庁の行政実例をできるだけ掲げ」るとともに、「難解といわれている漁業補償問題については、問題の根本であるところの共同漁業権に抱く漁民の特殊な権利意識及び水産業協同組合法を根拠とする法人的団体と、慣行を根拠とする地域の漁民団体(実在的総合人)との二重の性格を有する漁業協同組合についても詳しく解説し、補償基準要綱の解説及び漁業補償金の配分の実例についても紹介している」(本書677〜721頁)ため、本文771頁の大冊となり、現場の漁協の実務家は、そのボリュームに圧倒され、敬遠されるかもしれない。

 しかし、本書は、また、「編集者の意向により、巻末に付された「内容細目次」と、詳細な「事項索引」(この索引は極めてよく本書の内容を捉えており、本書の価値をいっそう高めている。――筆者)によって、共同漁業権及び漁業補償を正確に理解するための百科辞典としての役割が付加されている」(同上)ので、「はじめに」「第1章〜第4章」(T最高裁判決の問題点)「おわりに」を通読して、問題の所在を理解し、あとは、具体的問題に直面するたびに、索引によって必要箇所を参酌するいう利用の仕方が賢明かもしれない。

 

 以上、現場実務者に必要な情報という観点からすれば、本書に付け加えるべきものはないといってよいであろう。反面、政策論ないし学問の見地に立てば、浜本氏の提起した問題は多くの論点をはらんでいる。漁業における地先海面利用(沿岸漁業)、稲作における灌漑用水利用(農業水利)、農山村における里山利用(入会林野利用)については、いずれも明治期において近代的な法制が導入される以前に利用関係の実態が形成され、それぞれ環境の変化に応じて変貌の程度に差はあれ、明治以降現在に至るまでその実態の骨格は維持されてきたので、これらを法的に保護する必要があった。法的保護にあたっては、このような幕藩体制化においてすでに成立していた社会的ルールを近代法制にどのように組み込むか、という難問が存在していたわけであるが、地先海面利用、農業水利、入会林野利用それぞれ保護の法形式も、その後の時代環境の変化に対する対応の仕方にも著しい相違を生じてきている。

 しかも、入浜権等自然環境の享受は、国民平等に認められた権利であるべきであるという見地から、農林漁業生産のための慣行利用権のあり方にたいし、さまざまな意見が外部から提起されている。旧来の権利の実体を守りつつ、新しい外部からの要請にこたえられるよう、その内容を検討することは、農林水産省の重要な責務ではなかろうか。

*

 最後に、38年間の研鑽の成果を後輩現役行政官や共同漁業権や漁業補償に関係する実務者に伝えるため本書をまとめられた浜本氏の情熱とご努力に対し心からの敬意を払うとともに、採算性を無視して浜本氏の労作を上梓に踏みきられた中島氏の出版人としての見識を高く評価したい。(漁協経営センター『月刊漁協経営』年1999年11月号所収記事より転載)

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 追悼 朝日新聞1999.12.2夕刊記事 

漁業法の精神守り通す 元水産庁漁業調整官 浜本幸生さん

篠島真哉(朝日新聞長崎支局)

11月4日死去(下喉頭がん)70才》

 海面埋め立てなどの開発行為が、漁業権と衝突して折り合いがつかなくなることは、この国では枚挙にいとまがない。そんなとき、最後はだれもがこの人の判断を仰ぐ、「漁業法の神様」的存在だった。

 水産庁在職当時はもとより、退職後もなお、後輩職員の求めで出した見解が、そのまま水産庁の回答になることが珍しくなかった。

 漁業法は、海をみんなのものとしてきた漁村の慣習を、明治政府が綿密に再構築した法だ。欧米の借り物の法律が多い中、政界に例をみない同法の精神を重んじ、役人という立場を超えて守り通そうとした。その姿勢は、1973年に福岡高裁で決着した、大分県臼杵市の海岸へのセメント工場進出にからむ「風成事件」(かざなしじけん)での法廷証言にみてとれる。

 行政側の証人ながら、「漁業権の放棄は、漁協の決議だけでは決められない」と証言し、漁業権には乱暴な開発を阻止する力があることを世に知らしめた。結果的に行政・企業側は敗訴し、工場誘致は失敗に終わった。1950年の入庁当初から、漁業法の解釈に携わる部署ばかりを担当した。複数の分野を経験させる人事が主流の今日、比肩する専門家は育っていない、と水産庁幹部は惜しむ。

「漁業法を知りたければ漁業法の条文を読むな」が口癖だった。机上の解釈ではなく、海や浜でのできごとに即して考えよ、という意味だ。教えをこいに百回以上通ったという熊本一規・明治学院大学教授は、「漁民がきちんとした判断ができるように情報を提供したい、という私の姿勢が認められて、ようやく受け入れられた」と振りかえる。

 その「浜本漁業法」の集大成は、〔1999年〕10月末、800頁の大著「共同漁業権論 平成元年7月13日最高裁判決批判」(まな出版企画刊)に結実した。がんにおかされるなか、執念の上梓だった。1962年の漁業法改正時に担当者が「漁業法の立法趣旨をないがしろにして勝手に想像して書いた」解説書が、最高裁判決に引用されたことを悔やんでいた。この判決を覆すことを、終生の使命と考えていた。

 出版を見届けた5日後、息を引き取った。

(朝日新聞1999年12月2日夕刊掲載「惜別」記事より転載)

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 編集子のつぶやき(その2) 

資源の保護・管理は誰のためにするのか

―浜本説のもうひとつの読み方―     編集子

 本書刊行直後、著者の浜本さんは、喉頭がんにより昨1999年11月4日、帰らぬ人となってしまった。編集子が、本書の元原稿となった「〈共同漁業権は入会の性質を失った。〉とする最高裁平成元年7月13日判決の問題点」の論文を完成したと、浜本さんから連絡を受けたのは、その一年半前の夏だった。「この論文を、友人T君が骨をおってくれて、最高裁調査官室の附属資料室におさめられたよ。」と、嬉しそうに電話のむこう側の顔が思い浮かべられるような弾んだ声で話していた。

 すぐに、「本にしましょう」と持ちかけると、「無理しないでいいよ。最高裁調査官や判事の目に触れるようになって、水産庁の後輩たちが勉強してくれればそれで満足だから」と、断られてしまった。その後、半年ほどたってから、浜本さんのお宅に伺い、再度、今だからこそ専門家以外にも本書の存在と浜本理論の大切さを知ってもらうべきと、お願いをして、やっと了解をいただいた。数日して最終チェック後の同論文の決定稿と、フロッピーディスクをあずかることになったのだった。

 しかし、それからすぐに筑波大学附属病院に入院されてしまった。

 いま、浜本さんが亡くなられて、いちばん印象に残っている言葉を思い出してみた。水産資源保護は誰のためにあるのかという、漁業法における「漁業警察許可論」の難しい話だったが、漁業調整と資源管理の目的の例え話によって、その重要さが理解できた。

 つまり、資源を保護したり管理したりする目的は、誰のためにするのかといえば、漁業法第一条の「水面を総合的に利用し、もって漁業生産力を発展させる」ことにあるのは明らかである。ところが、「漁業調整」という名の「規制」の中には、「資源保護」とか、「資源管理」という概念は含まれない、と考えている漁業経済学や水産学の専門家が多いというのである。

 前述した、編集子の戯言のなかで、「漁業基本法」(「水産基本法」と呼ばれ始めているようだが)制定運動は大いに盛り上げ、早期実現を望むものである。しかし、漁業法の精神である「共同漁業権」のわが国独自の法律的性格を守ることと、日本の沿岸漁業制度上の「保護」や「管理」の本来的な概念を、200カイリ体制となり、それまで欧米で行われてきた資源管理の概念によって作られたTAC法などの法概念の基本にある、いわば「魚の生命保護」を目的とするかのような、「保護」や「管理」概念こそが主流にあると、混同する捉え方があるということを、浜本さんとの意見交換によって知ることができた。 

 浜本さんは、そのとき、すでに亡くなられた漁業経済学のリーダー的存在だった故・長谷川彰博士すら、「資源管理型漁業は、漁業調整には含まない」という、明らかな誤解をしていた、と話してくれた。

 あとで具体的に調べてみたら、確かに、長谷川博士は、昭和37年漁業法改正の際の『新漁業法の解説』に出ている「漁業の許可は、資源保護、漁業調整、その他公益の保護を目的とするものであって、漁業経営の安定を目的とするものではない。」(同書142頁)を引用して「要するに、資源・漁場の利用者を特定するものとしての「漁業法」と「資源管理型漁業」のために必要な制度とは,異質な体系に属すると思う」(「漁業経済研究」33巻2・3号、1989年所収)と断言している。

 これには、後日譚があって、ある会合で、浜本さんと長谷川氏が同席したときに、この話になって、長谷川氏が、浜本説に納得して、「昔から、このことを書くときにいつもおかしいと思っていた。」と、自説に疑問を抱いていながら、法改正制定当事者の行政官が書いた解説書をうのみにしてたことを認めたことを浜本氏に話されたそうだ。

 「共同漁業権論」の隠れた意図として、浜本さんが、共同漁業権と漁協との関係を社員権説で解説した『新漁業法の解説』の危うさの指摘、もっと直接的表現をすれば、漁業権解釈の際に引用するには不適切書として抹殺(言い過ぎかもしれないが)を明示したことにあったと、編集子は考えている。そして、「共同漁業権論」のなかでは、いっさい触れていないけれども、前述のように、漁業経済学の資源管理論の基本的認識すらをも誤らせてしまった、漁業許可(漁業権をも含む)の、浜本さんがいうところの「消極的・警察的規制」、つまり、「漁業許可の警察許可説」が、現代に、今またよみがえりつつある社会経済情勢に対する、警鐘を鳴らす意味もまたあるような気がしてならないのである。

 長谷川先生にお会いして、これらのことを取材したいと思っていながら、お会いする機会のないまますでに亡くなられてしまった。そして、いままた、この問題について、もっともっと突っ込んで教えてもらいたかった浜本さんも去ってしまった。わが国の沿岸域管理と水産資源の管理利用と沿岸漁業のわが国における位置付けを明示させる「漁業基本法」が論議されるようになり、沿岸漁業の国における位置付けを考えるときに、こんな切り口がらの検討があっていいと思うのである。「保護」や「管理」の意味を考えるとき、、漁業という産業や漁民たちの営業保護があくまで目的なのであって、欧米で発達した魚介類の生命財産の保護を目的にする制度の体系が、そぐわない社会や歴史の環境があることを忘れてはならないのである。編集子の杞憂に過ぎないかもしれない。

 「共同漁業権論」を考えるときに、佐竹氏がいう「社会的ルール」の存在を、こうした欧米の思想体系に基づいて発展してきた水産資源学や、資源管理理論が、日本的資源管理理論としてどのように受けて留めていこうとしているのか、いろいろな方々から取材をして、勉強をしてみたいテーマであるような気がする。

 以前読んだ平沢豊東京水産大学名誉教授の「資源管理型漁業成立への軌跡と日本の漁業組合」(1994年)のなかで、日本と欧米の漁業管理の比較、明治漁業法と漁業組合の検討によって「親しい友人であり、深いコミュニケーションがある」組合と漁民の関係に立ち戻って資源管理型漁業の基盤作りをしようと結んでいたことを思い出した。 (N)

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 浜本幸生氏業績集 

 作成/田中克哲(漁村振興コンサルタント)・中島満(まな出版企画)

 


@浜本幸生氏略歴

1929・昭4年 生れ

1950・昭25年 水産講習所卒。水産庁入庁。生産部海洋課

1960・昭35年 漁政部漁業調整課

1968・昭43年 香住漁業調整事務所長

1970・昭45年 漁政部漁業調整課漁業調整官

1975・昭50年 漁政部沿岸漁業課課長補佐

1984・昭59年 振興部沿岸課遊漁調整官(遊漁調整指導室長)

1987・昭62年 水産庁退職

       社団法人全国沿岸漁業振興開発協会 技術委員

1988・昭63年 財団法人日本釣振興会理事

1989・平元年 日本釣振興会専務理事

1990・平2年 同会退職

1999・平1111月4日 死去

     同年12月 従四位勲四等旭日章綬章


浜本文庫開設 2001年7月に、浜本さんが長年集められた漁業法・漁業補償関係蔵書が、明治学院大学教授熊本一規さんによって分類整理され、水産庁の中央水研に「浜本文庫」として納められた。中央水研の資料室には、渋沢敬三が主催したアチックミューゼアム(日本常民文化研究所)の水産関連資料のほか、1998年に亡くなられた漁民運動史・漁業史研究家の石田好数さんの「石田文庫」が納められている。横浜市金沢八景と場所が不便なところにあるが、お近くにおよりの際は、事前に連絡のうえ訪ねてみたらいかがだろう。

独立行政法人水産総合センター中央水産研究所⇒http://ss.nrifs.affrc.go.jp/index.html


A主な執筆・講演・裁判証言記録

     『太ゴチック』は単行本(共著、編著含む)

     「××」は、報告書、雑誌、新聞掲載の記事、論文

     〔××〕は、裁判における証人証言および証言メモ

 

<1965・昭40年>

3月5日 「漁業補償に関する問題点」水産庁漁業調整課。「A―補償基準に関すること」、「B―補償金に関すること」、「C―埋立て、干拓事業等の実施と漁場の確保(漁業調整との調整)」について補償係長時代の文書。

 

<1966・41年>

5月19日 「土地収用法一部改正(41年5月提案)に伴う想定問答」(2次案)浜本担当文書

 

<1968・昭43年>

6月15日〜 月刊用地vol1bU〜10「漁業補償と漁業法(その1〜4)」東京出版

 

<1972・昭47年>

9月25日 〔福岡高等裁判所(民事)〕風成公害予防闘争事件控訴審「証人調書」。共同漁業権制度、漁業法第8条第3項、第5項の立法の経緯ほか

 

<1973・昭48年>

10月2日 「海区漁業調整委員会の機能」全国海区漁業調整委員会連合会(以下「全漁調連」)主催・第9回事務局職員研修会(三重県津市)の講義テキスト

 

 

<1974・昭49年>

2月25日 水産新潮Vol13.12「忘れ残りの記」水産新潮社。幻に終わった「以西底びき網漁業制度改革要綱(案)」にかかれた「海洋漁業権制度」と「漁権の担保性」について海洋二課時代の随想。

 

<1976・昭51年>

9月16日 〔盛岡地方裁判所(民事)〕漁業権の放棄の議決に漁業法第8条第3項、第5項の類推適用ほか

 

<1977・昭52年>

9月27日 「漁業調整委員会制度と漁業調整について」全漁調連主催・第13回事務局職員研修会(鳥取市)講演

10月 全漁調連会報「漁業法の基礎的な問題について」(上記講演記録。講演記録集『漁業法の哲学』所収)

 

<1978・昭53年>

1月 全漁調連会報「漁業法の基礎的な問題について(続)」

10月4日 「漁業調整委員会制度と漁業調整について」全漁調連主催・第14回事務局職員研修会(福島県飯坂町)講演

 

<1979・昭54年>

9月5日 「漁業法における各種制度の立法趣旨について」全漁調連主催・第15回事務局職員研修会(佐賀県唐津市)講演

『漁業補償実務資料集成』(共著)フジテクノシステム

 

<1980・昭55年>

11月3日 『水協法・漁業法の解説』(共著)漁協経営センター

 

<1981・昭56年>

9月8日 「漁業権の一斉切り替えをひかえて」全漁調連主催・第17回事務局職員研修会(広島市)講演

11月  全漁調連会報「漁業権の一斉切り替えをひかえて」(上記講演記録。講演記録集『漁業法の哲学』所収)

 

<1982・昭57年>

4月「漁業権侵害について」水産庁メモ

8月30日 『漁業補償実務資料集 総合事例編』(共著)サイエンスフォーラム

9月8日  「漁業権の一斉切り替えに関する事務の進め方等について」全漁調連主催・第18回事務局職員研修会(青森市浅虫温泉)講演

 

<1983・昭58年>

1月 全漁調連会報「漁業権一斉切替えに関する事務の進め方について」(前記講演記録。講演記録集『漁業法の哲学』所収)

4月〜翌年5月(83年5月、84年2月は休載) 月刊つり人「質疑応答 つり人⇔水産庁Q&A/回答沿岸漁業課課長補佐・浜本幸生」

10月〜 岩手漁連情報・ぎょれん(10月号〜翌年11月号連載)「漁業法・漁業権って何?―浜本幸生の漁業法12講」岩手県漁業協同組合連合会

11月29日 「沿岸漁場整備開発法(沿整法)と漁業法」全漁調連主催・第19回事務局職員研修会(熊本市)講演(講演記録集『漁業法の哲学』所収)

 

<1984・昭59年>

3月 全漁調連会報「海区漁業調整委員の選挙について」

5月〜 漁村5月号〜「漁業者のための法律と制度の入門書(その1・2)」漁村文化協会

9月26日 「遊漁と漁業の調整について」全漁調連主催・第20回事務局職員研修会(山口市)講演(講演記録集『漁業法の哲学』所収)

 

<1985・昭60年>

1月 「行政判例集成(判例カード)」浜本個人編

1月 水産振興205号『漁業法における遊漁調整』東京水産振興会

2月 「漁業監督公務員の行う漁業犯罪取り締まりについて」

3月「都道府県漁業調整規則の効力範囲について(長崎、熊本両県間の問題に関し)」

4月19日「海区漁業調整委員会のした処分に対し、不服申し立てができない理由」

5月15日「二県以上の県規則の管轄が競合している海域における漁業取り締まりについて(「都道府県漁業調整規則の効力範囲について」に係る九州調整事務所からの質問に対する補足説明)

9月11日 「漁業法における各種制度について」全漁調連主催・第21回事務局職員研修会(高知市)の講義テキスト(講演内容に加筆した同名冊子が、同会より翌年発行)

8月 「漁業法の規定による知事委任事務等の「復委任」(「事務委託」)が許されるか否かについて」照会に対する回答

11月12日 〔青森地方裁判所(民事)〕共同漁業権制度、漁業権の放棄と漁業補償の基準ほかについて

 

<1986・昭61年>

  11月 「海区漁業調整委員会の委員の選挙に関する公職選挙法及び公職選挙法施行令の準用の誤り一覧表」

7月11日 「漁協のアワビ漁業自営の件」岩手県漁連荒屋専務宛

8月21日 「漁業法の哲学」水産庁事務職員会研修会講演(講演記録集『漁業法の哲学』所収)

9月 「許可漁業について―漁権の話し」水産庁事務職員会研修会講演(講演記録集『漁業法の哲学』所収。加筆され水産社刊『早わかり「漁業法」全解説』に所収)

9月18日 「漁業法と地方自治法について」全漁調連主催・第22回事務局職員研修会(宮城県)の講義テキスト(講演記録にもとづき加筆され水産社刊『早わかり「漁業法」全解説』に所収)

 

<1987・昭62年>

5月2日 「森林法第186条違憲判決」(最高裁大法廷昭和62年4月22日判決)と漁業法との関係について

5月30日 『海区漁業調整委員会選挙の手引き』大成出版社

9月9日 「海区漁業調委員会の選挙について」全漁調連主催・第23回事務局職員研修会(長崎市)の講義

 

<1988・昭63年>

1月 『漁業法の哲学―講演記録集』自家出版

3月 「発電所全面海域の法的地位について」海洋生物環境研究所

4月〜 水産世界(4月号〜平2年3月号)「漁業権侵害の罰則は軽すぎるのか?―漁業制度の改善・発展に向けて<浜本教室>(1)〜(13)」農林水産経済研究所

9月20日 「漁業法の哲学」全漁調連主催・第24回事務局職員研修会(神戸市)の講義

 

<1989・平元年>

3月17日 「鮭ライセンス制試行の検討」全国沿岸漁業振興開発協会・遊漁情報63−9

3月23日 「北海道における「さけ」一本つり漁獲量調査について」全国沿岸漁業振興開発協会・遊漁情報63−10

4月26日 「漁業法第30条について」照会に対しての回答

5月30日 「いわゆる羽織業者の問題等について」照会についての回答

6月8日 「リゾート開発と漁業協同組合」全国沿岸漁業振興開発協会主催平成元年度中央講習会講演記録。

6月15日 漁船281号「遊漁船業の適正化に関する法律について」漁船協会

9月6日 「遊漁船業の適正化に関する法律について」全漁調連主催・第25回事務局職員研修会(福井県芦原市)の講義

11月1日 『早わかりシリーズ「漁業法」』(第1巻「漁業権って何だろう?」、第2巻「海って誰のものだろう?」、第3巻「いま海の利用を問う」)水産社

不詳 水産週報「漁業法制度からみた沿岸再開発」

12月22日 「大分市白木漁協の漁業補償金配分に関する最高裁判決の問題点」鹿児島大学講義(講義記録を元に加筆訂正して水産週報平成3年2月15日号に「漁村の入会慣習は変質したのか」として掲載)

<1990・平2年>

不詳 「観光漁業のあり方」

1月19日 「かつお一本つり漁業の経営改善企業化調査事業(遊漁兼業)―遊漁兼業カツオつり漁船ラ・マドンナ号」全国沿岸漁業振興開発協会・遊漁情報元−5

2月14日 「漁業補償と漁業権の関係について」内水面漁業調整規則における罰則の適用についての記載が含まれる内水面関係者に対する講演テキストと思われる

6月8日 「つくり育てる漁業と漁業法」全国沿岸漁業振興開発協会平成2年度中央講習会(静岡県修善寺)テキスト

6月23〜24日 「漁業の持つ可能性と将来性」神奈川県主催“サーフ90”の一環として漁村研究会が企画したシンポジウム(城ヶ島海洋センター)にパネラーとして参加。「われわれの海」の発言レジュメ提出。「漁村研究」第14号(特別記念号)に内容記載。

7月23日〜27日 「海洋レクリエーション開発と水産業の今後の方向」文部省平成2年度産業教育指導者養成講座講義テキスト

8月24日 「漁業法の解説」宮城県漁連非常勤理事研修会テキスト

10月17日 「海区漁業調整委員会制度と漁業調整について」全漁調連主催第26回事務局職員研修会(東京都大島)テキスト

10月30日 「漁業者は漁場管理をいかにすべきか」鹿児島県奄美大島における講演テキスト

11月27日 「海洋レジャーと漁業との調整」静岡県マリーナ協会主催講演メモ

12月20日 「漁業と遊漁について」香川県遊漁船業協会講演メモ

 

<1991・平3年>

2月15日 水産週報「漁村の入会慣習は変質したのか―漁協と漁業権を考える」水産社

2月15日 「「ウタリ共同カニ密漁事件」判決を読んで」未公表

5月 「中型まき網によるいさき・たい及びふぐの漁獲問題について」愛媛県漁連宛回答

6月3日 「福岡市K氏の『シリーズ漁業法』を読んだ質問に対する回答」未公表

6月20日 「漁業秩序の保持と監視業務の役割について」内水面第5種共同漁業権の生い立ちなどを解説。福島内水面漁連漁業監視員リーダー研修会テキスト

8月5日 『漁業管理研究』(共著)所載「漁業調整と栽培漁業―補助金によって造成された人工魚礁「つきいそ(築磯)漁業権」の設定と関連について」成山堂

8月30日 「漁業法の概要」鹿児島県漁連理事研修会テキスト

9月20日 「漁場(特定区画漁業権)の制限等について」照会に対しての回答

9月25日 〔福岡高等裁判所(刑事)〕 「大分いさき採捕事件福岡高裁証言要旨」(同日東京高裁法廷において証言)漁業法第66条の立法趣旨、中型まき網漁業の許可制度ほか

10月 「まき網は定数漁業か―大分県漁業調整規則第8条第2項の定数漁業について」大分県いさき控訴審資料として問題の所在をまとめた論文

10月16日 「海洋レジャーと漁場管理」全漁調連主催・第27回事務局職員研修会(鹿児島県指宿市)の講義テキスト

11月 「志摩現地調査レポート」現地漁協のリゾート施設計画に関する調査のようだが発表先不詳

11月 「大分県漁業調整規則第8条第2項の定数漁業について(結論)」大分県いさき控訴審資料として問題の所在をまとめた前記10月論文の最終稿

不詳 「組合脱退と漁業行使について」9月27日照会に付いての回答

 

<1992・平4年>

3月 「漁協合併と漁業権問題について」全国漁業協同組合連合会

5月 「漁業と内水面における水上レジャーについて」研修会名不詳

8月 「日本における漁業制度」水産生物生息場造成ならびに沿岸開発に関する日米シンポジウム報告用論文(英文のアブストラクトあり)

10月13日 「漁業法について―漁業権とは、いま海の利用を問う」高知県漁連理事研修会テキスト

11月2日 「漁業制度について」新潟県漁連漁協役員研修会テキスト

12月 「発電所人工島周辺海域の法的地位」

 

<1993・平5年>

3月25日 〔大分地方裁判所(刑事)〕中型まき網漁業の許可内容、許可の制限条件の趣旨ほか証言

4月5日 〔大分地方裁判所(刑事)〕中型まき網漁業の許可内容、許可の制限条件の趣旨ほか証言

6月 「漁業補償と漁業制度」主催者不詳セミナーテキスト

6月26日 「他県漁民を締め出す目的の漁業権の沖出しについて」照会に対する回答

8月 「つくり育てる漁業と漁業法」愛媛県漁連理事職員研修会テキスト

8月 「漁村の慣習と漁場管理団体としての漁協の関係について」水産庁委託の水産業総合研究事業作業部会(全漁連実施)における報告レジュメ

8月3日 「北海道知事の関係地区処分についての審査請求の骨子(案)」

8月4日 「浦安つり船組合I氏からの『シリーズ漁業法』を読んだ漁業権放棄に関する質問に対する回答」

8月22日 「平成5年9月1日以降におけるコンブ漁業等の操業について」北海道浜中漁協の浜中町ビワセ漁民を当事者とする、北海道知事の不免許処分取り消し訴訟に関する意見書。当該散布漁協との共有免許共同漁業権免許の内容と、入漁についての見解など。参考として、「漁業権侵害または漁業行使権侵害について」が添付。

10月20日 「地先水面の利用料について」研究会主催者に対する感想メモ

11月 「漁港における遊漁の調整」

12月 月刊漁協経営5月号「漁業権免許の一斉更新と共有漁業権の分割」漁協経営センター(同社刊『マリン・レジャーと漁業権』所収)

12月 「散布漁協によるチェーン振り撤去等の操業妨害に対する琵琶瀬地区漁民の対応について」8月22日文書に関係するその後の意見書

12月17日 「T漁協における定置漁業権の持分及び損益配分の比率の問題について」照会に対する回答

 

<1994・平6年>

1月21日 「漁業補償について―平成5年8月30日付け水産庁長官通達に関して」全国内水面漁場管理委員会連合会主催事務局職員研究会テキスト

2月 「地先権の慣習について」S漁協がY水産から請けた損害賠償請求事件についての照会に対しての回答

3月 「漁業情勢の変化と制度面に関する研究(1)」(共著)大日本水産会

4月14日 「日本における漁業制度」国際研修センター主催によるザンビア個別研修員にかかる講義テキスト

6月 月刊漁協経営6月号「漁協によるマリン・レジャーの管理・調整の必要性とその合理性について」漁協経営センター(同社刊『マリン・レジャーと漁業権』所収)

6月 「漁業権と漁場利用について」沖縄県における講演テキスト

7月14日 「漁業権と許可・自由漁業について」宮城県漁協青年団体連絡協議会研修会テキスト

8月 「漁協合併と漁業権について―漁協合併助成法の改正と最高裁判決(平成元年7月13日)」愛媛県漁協指導協会(講演講義記録)

9月 「平成元年7月13日の最高裁判決批判」

10月28日 「漁業補償における協力金等について」

12月5日 「第3回水産問題懇談会 資料」水産庁の検討機関において「海洋法条約の国内法制化対策」の私案として報告したレジュメ

 

<1995・平成7年>

1月 「国連海洋法条約の批准と国内漁業法制の整備について(骨子)」

2月 「国連海洋法条約の批准と国内漁業法制の整備について」決定稿

3月 「漁業許可に関する基本的問題について」全漁連宛報告書原稿(後に本原稿は補追され水産社刊『早分かり「漁業法」全解説』に所収)

3月 「漁業情勢の変化と制度面に関する研究(2)」(共著)大日本水産会

3月22日 文部省監修『漁業』海文堂。高校教科書。第5章「漁業に関する制度」担当

4月 「放流魚の所有権等について」平成7年3月28日付水産庁沿岸課からの紹介についての回答

4月18日 〔大分地方裁判所(民事)〕共同漁業権から「浮魚」を除外した立法趣旨等について証言

5月 「漁業法制度における海面と内水面との区別について」照会に対する回答

6月 「河川におけるサケの採捕問題(北海道)について」照会に対する回答

6月6日 〔大分地方裁判所(民事)〕 共同漁業権から「浮魚」を除外した立法趣旨ほかについて証言

7月13日 「内水面漁業制度について」平成7年度内水面漁業・養殖業担当者会議資料

8月 「漁協合併と漁業権について」愛媛県漁連漁協合併研修会テキスト

 

<1996・平8年>

1月 「「共同漁業権は入会の性質を失った。」とする最高裁平成元年7月13日判決の問題点」『共同漁業権論』の原論文の第1次稿

3月 「第5種共同漁業権にかかる増殖実施量について」および「希少水生生物種の保護・管理について」神奈川県水産課からの紹介に対する回答

5月1日 水産振興第341号『欧米の漁業法(国連海洋法条約)と我が国の漁業法』東京水産振興会

8月18日 『海の「守り人」論―徹底検証・漁業権と地先権』(編著)まな出版企画

12月 月刊漁協経営12月号「静岡県大瀬崎沖合での内浦漁協のダイバーからの潜水料徴収を否定した東京高裁判決を読んで」漁協経営センター(同社刊『マリン・レジャーと漁業権』所収)

 

<1997・平9年>

1月31日 「漁業補償問題解決への課題」産業技術出版による漁業補償セミナーテキスト(平成10年にも同テキストにより開催)。

3月 「海面漁業制度の沿革」(「全漁調連30年の歩み」巻頭担当)全国海区漁業調整委員会連合会

3月31日 『マリンレジャーと漁業権』(共著)漁協経営センター

10月 月刊漁協経営10月号「対談・漁協合併と漁業権をめぐって(VS山本辰義)」漁協経営センター

10月9日 「海の利用と地先権」愛媛県漁連漁協法務研修会テキスト

10月1日 『早わかり「漁業法」全解説』水産社

11月21日 「漁業振興とマリンレジャーとの共存」静岡県相良町商工会オーシャンセミナーテキスト

 

<1998・平10年>

4月 「河川開発事業に伴う漁業関係調査」財団法人公共用地補償機構。漁業権消滅漁場問題に関する論考。

7月 「日本の漁業と漁業権」愛媛県漁連漁協理事研修会テキスト

8月 「「共同漁業権は入会の性質を失った。」とする最高裁平成元年7月13日判決の問題点」『共同漁業権論』の原論文。水産庁担当課長に提出し、最高裁調査官資料室に納められる。

9月 「漁業権と組合広域化への対応」愛媛県漁連漁協法務研修会テキスト

 

<1999・平11年>

3月 「渡船業者及びダイビング事業者と漁協との紛争にかかる判例」(未定稿・3月19日高知県海面利用協議会における講演テキスト―結局講演前に入院のため参加せず、3月12日付高知県漁政課宛の「お断り」状により欠席を伝えている)

9月30日 〔新潟地裁第1民事部平成10年(ワ)第428号訴訟事件に関する上申書(案)〕定置漁業免許の優先順位(漁業法第16条)について、旧加茂村白瀬地先(新潟県佐渡)のブリ定置漁業権の権利主体などについての記載している。

10月25日 『共同漁業権論―最高裁平成元年7月13日最高裁判決批判』まな出版企画

 

執筆年・発行日不明

「漁業権の話」水産庁漁政部沿岸課時代

「漁業権の意義等について」水産庁時代ペーパー

「漁業法における各種制度について」水産庁沿岸課遊漁調整指導室長時代ペーパー

「漁業補償の問題点」全国沿岸漁業振興開発協会技術委員時代

「リゾート開発と漁協の対応」全国沿岸漁業振興開発協会

「沿岸公共事業と漁業補償について」(不詳雑誌掲載論文)沿岸漁業課漁業調整官時代

「栽培漁業と資源管理型漁業に対する海区漁業調整委員会の役割について」(熊本における講演テキスト。主催者不詳)

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