味探検 江戸前シリーズ 45(東京新聞1997年12月4日首都圏情報版「ゆめぽっけ」掲載) 

豊島区巣鴨・にしむら

八つ目食いねぇ、不況風を吹っ飛ばせ

 木枯らし吹く頃になると海から川に遡上してくる八つ目鰻。数年前、新潟県小出に川漁師さんを訪ねたとき、雪の降る魚野川のほとりに「魚野川産ヤツメ有ります」の張り紙。カジカとともに、串に刺して囲炉裏で丸焼きにして出された。「こいつを東京でも食わせるとこがある」と聞かされ、以来気になって探していた。その店は巣鴨にあった。
 この当たり江戸六地蔵の一つがある真正寺から、とげぬき地蔵をへて庚申塚まで通称「地蔵通り」と呼ばれる。旧中山道巣鴨本村の茶屋がいまでもそのまま商店街となっている。「この不況風が吹くなか八つ目でも食って精出して頑張りましょうや」と八ツ目や・にしむらご主人の西村卓さん。普通の鰻も焼くが、やはり看板はヤツメウナギだ。かば焼きにした八つ目中串が1本1000円(小500円)、八つ目モツ焼き(250円)。暖簾のむこうから、かば焼きの煙。沿道の人の流れを吸い寄せていくうまそうな匂いだ。店内では、東京中でもここだけという八つ目重定食(2100円)にもトライできる。
「10月下旬から3月ごろまで東北や北海道から生きた八つ目が入荷する」ヤツメウナギの旬なのだそうだ。北海道の尻別川が主産地とのこと。古くから滋養強壮とした八つ目の寒干し(1本1000円前後)や佃煮(1200円)もある。(中島 満)

 

「にしむら」メモ

豊島区巣鴨3ノ34ノ2。JR山手線巣鴨駅下車。北口を出て巣鴨地蔵商店街に入りとげぬき地蔵手前右側。歩3分。(電)03・3910・1071。店先売りの他テーブル8席。営業時間前10時半時−後7時。定休は7と8が付く日(土日祝が重なる場合は繰り下げか繰り上げ)。

取材メモ  

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