味探検 江戸前シリーズ 30(東京新聞1997年8月21日首都圏情報版「ゆめぽっけ」掲載) 

羽田・湯泉屋(とうせんや)

水売り屋さん、平成を潤す心意気

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 「ひゃっこいひゃっこい」、夏、江戸市中の冷水(ヒヤミズ)売りの呼び声。江戸は川沿いと埋立地にできた下町に人口が集中しただけに、上水には不自由したらしい。夏の水売りが季節移動販売だとすれば、1年中飲み水を船で運搬し、店先で販売する商人を水屋と呼んでいた。冷水に白砂糖と白玉をいれて1杯4文(蕎麦1杯が16文)だったらしいが、「ぬるまゆを辻々で売る」(柳多留)のが実態だったろう。
「平成7年から防災グッズと一緒に各地の名水を売り始めた」という金子富夫さんは、さしずめ現代の水売り屋さんだ。常時10数種類の名水に最近では飲める温泉水の販売も始めている。「富士山仙水の水」(2 リットル250円)、「富士山のうまい水」(1.5リットルボトル220円)。いずれも現地で確認済みの名水。温泉水では「はやぶさ」(1.5リットル500円)、「雲峰の霊泉」(1.5リットル350円)がおすすめ。山梨県にあるはやぶさ温泉、裂石温泉の飲める源泉水をボトルにつめたもので、「癒し」効果を期待して愛飲するお客さんも多いという。
 名水で炊くご飯が「こたえられない」という金子さんのもう一つの顔が、災害ボランティア。「この商売も各地で災害救援のお手伝いをしながらライフラインとしての水の大切さに気づいたから。今ストックしてある水は、事あれば無償で提供したい。水で救える命もあるはず」と金子さん。(中島 満)

「湯泉屋」メモ

大田区羽田3ノ1ノ4。京浜急行羽田線穴守稲荷駅下車、踏切を渡り、ふれあい通りからバス通りに出て右折、一つ目の信号の先100m左手。歩5分。(電)03・3743・3069。販売店舗のみ。営業時間10時〜6時。定休土・日曜。

取材メモ  その後、店の一角で「羽田やき」というたこ焼き屋さんを開業しているようだ。

注:記事内容は取材時のものです。現時点で価格・営業時間・経営内容等変更がある場合があることをご了承下さい。

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