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味探検 江戸前シリーズ 17(東京新聞1997年5月22日首都圏情報ゆめぽっけ掲載) 

羽田・八百吉商店(やおきちしょうてん)

正真証明の江戸前天然ものアサリ

 空港滑走路に飛行機が着陸する直前、海側に点々と立つ誘導鉄柱。柱と柱の間の浅瀬が、羽田漁師・酒匂森蔵さんの仕事場だ。「ここのアサリは正真正銘の天然ものよ。多摩川の淡水が交じりあって日本一のアサリが育つ」のだそうだ。
 地物といいながら実は、他県産稚貝を放流して大きくしたものとは違うのである。5月、水もぬるみ貝が浅瀬に顔を出すころから、酒匂さんのアサリ漁が始まる。コシマキかごと呼ばれる鉄製の漁具を腰にくくりつけて、胸ぐらいの深さの海に入り掻きすくうようにしてとる。まさに重労働の漁だが、収穫は約40キロ。「今年は去年の半分」しかとれないという。
 漁の時間は、潮具合でまちまちだ。取材日は11時頃から3時頃までで、海老取川の船着き場では、奥さんの清子さんが船の戻るのを待つ。板組したさん橋上で、このアサリを1袋700gに仕分けする。「ここのは塩が甘いんですよ。一度食べると他のは食べられなくなりますよ」と清子さん。
 68袋の日本一うまいアサリは、近くの八百屋さん(八百吉商店)まで運び、店先で売る。酒匂さんのオートバイを待ちかねるようにしてうろうろしているお客さん。1時間も立たないうちに売り切れてしまう。
 ふぞろいだが丸々とした大粒アサリの小売値は、1袋300円なり。(中島満)

「八百吉商店」メモ

大田区羽田2ノ3ノ2。京浜急行線大鳥居駅下車歩き10分。産業道路を大師橋方向に歩き、バス道路を羽田飛行場方向に左折。区役所羽田出張所前の八百屋さん。

取材メモ  注:記事内容は取材時のものです。現時点で価格・営業時間・経営内容等変更がある場合があることをご了承下さい。

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