味探検 江戸前シリーズ 3(東京新聞1997年2月13日掲載)

羽田・千世(ちよ)

釣ってさばく銀造り

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 マダコを活きたまま料理してくれることで知る人ぞ知る店である。看板もタコなら、店内には大物タコの魚拓が踊っている。「東京湾のマダコは夏場が旬。今頃はタチウオがうまいよ。2月いっぱいは楽しめる」とご主人の田牧博信さん。この店には、太公望のご主人が釣り上げた旬の魚がお目当ての客も多い。

 取材日早朝に観音崎沖で3本釣り上げたというタチウオ。1mはあろうかという大物が氷の上で銀色に光っている。文字どおり「銀造り」(900円)と名付けた刺し身は文句なし旬の味。

 イカ三昧(1250円)は定番人気メニュー。足の塩焼きから、刺し身・糸造りをショウガと、好みでショッツル風特製タレをつけて食べる。1匹丸のまま使うところがこの店ならではの三昧(ざんまい)料理だ。

「これを食べたくてこの店にくる」という活きタコの造り(1500円)をワサビか真塩で味わう。吸盤が吸い付いてくる生きのよさと歯ざわり感がやみつきになる。

 この店に来たからには、もう1品アサリ釜飯(1000円)をぜひ賞味したい。カニ、エビ、鳥釜飯もある。「お握りにしてお持ち帰りもできます」とおかみの京子さん。休日には釜飯を食べに家族連れでいっぱいになるという。釜底のへばりついたおこげの懐かしさと下町のあったかさに出会える店である。(中島満)

 

「千世」メモ

 大田区羽田3−2−4。京浜急行空港線穴守稲荷駅下車。踏切渡り穴守ふれあい通り徒歩5分、バス通りを右に一つ目の信号向かいにタコの看板あり。カウンターとテーブル24席、座敷24席。電話03・3744・1590。午後5時〜12時半。第1・3月曜定休。

取材メモ  注:記事内容は取材時のものです。現時点で価格・営業時間等変更がある場合があることをご了承下さい。

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