大はし三忠本店

味探検 江戸前シリーズ 28(東京新聞1997年8月7日首都圏情報版「ゆめぽっけ」掲載) 

北千住・大はしおおはし

焼酎で絵になる牛の煮込みかな

「老若男女、愚賢貧福おしなべて、牛鍋食わねば開化不進奴(ひらけぬやつ)」明治4年の滑稽本「安愚楽鍋」(あぐらなべ)の 一節。
 ここは千住、日光街道の最初の宿場、千住大橋のたもとに明治10年牛肉屋として創業、牛鍋屋をへて現在地に移って既に100年たつ。
 サンロードなるモダンな名前がついている通りが旧街道。「すぐそこの辻には『右水戸水海道』の石標がありまして、その斜め前が遊郭で……」と、4代目ご主人の神野彦二さん。暖簾をくぐると、そこは「街道筋の居酒屋」がピタリの雰囲気を漂わせている。
 コの字形カウンターに囲まれた店奥に、でーんと直径80センチはゆうにある年代物の鉄鍋。「うちの肉は牛スジやカシラを使い、モツ煮込みとは全く違う。じっくりと煮込んだ牛鍋屋の味」という「牛煮込み」と「肉どうふ」(各320円)。
 煮込みに感激した客が、「煮込みにあらず、プロレタリアートの牛シチューなり」と言ったとか。
 この店にはチュー(焼酎)がなんともよく似合う。三重のチュー・亀甲宮ブランド1本(600cc)1150円は1ヵ月のボトルキープができる。チューを頼めば、黙って「梅の甘精」という梅ワリエキスが出てくる。チュー1本に1合の梅ワリエキスがサービス。安くて豊富なツマミもうれしくなる。 (中島満)

「大はし」メモ

足立区干住3ノ46。J R北千住駅西口下車,駅前通り2つ目の信号を右折,サンロード商店街100m先の左手。徒歩5分。電話03・3881・6050。カウンター24席,テーブル16席。営業午後4時半〜10時半(祝日午後9時まで)。定休・日曜。

取材メモ  注:記事内容は取材時のものです。現時点で価格・営業時間・経営内容等変更がある場合があることをご了承下さい。

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三忠本店

味探検 江戸前シリーズ 29(東京新聞1997年8月14日首都圏情報版「ゆめぽっけ」掲載) 

北千住・三忠本店(さんちゅうほんてん)

日光街道ボリューム満点どぜう鍋

 三河の忠さん。夏、どぜう鍋に鰻、冬には、さくら鍋を看板の店として80年ほど前に開業。創業者の名前が屋号となる。「店の前が都電の終着駅でした。日本橋の水天宮から千住まで30分あれば着いた」と3代目主人神崎武さん。
 戦前は荷車の往来も激しく、大橋を越して千住新橋手前から土手にかかり急坂となる。「ちょっといっぷく」と思ったところに「どぜう三忠」の看板。日光街道の茶屋であり、飲み屋さんなのである。暖簾をくぐると漆塗りの連板れんいたに胡粉ごふんで白く書きつけた品書きが懐かしい。薄くなったデンキブランの文字も見える。
“どぜう”といえば専門店を思い浮かべる向きが多かろうが、老舗ばかりがどぜう屋ではない。ここの「どぜう鍋」(写真右1000円)と柳川鍋(1000円)を食べてみたまえ。ほかに「どぜう丸煮」(500円・写真手前)もある。
 ゆうに20匹は入っているボリューム満点の土鍋をつつきながら、自家製ラッキョウをつまみに一杯。酎ハイ300円。氷にグラス、炭酸割り1本は当然。レトロのビンに焼酎正1合が入って出てきたのにはびっくり。「そのビン、じいさんが大事にとっておいたもの。欲しいというお客さんいるけどあげないよ」とご主人。夏、さくら肉の刺し身(1000円写真左)がうまい。こんな「どぜう屋」もあったんだ。 (中島 満)

○「三忠本店」メモ

足立区区千住寿町34ノ10。。JR北千住駅西口下車、駅前通りから国道4号線日光街道の信号わたり右折、二つ目の信号の先100m。歩10分。千住4丁目バス停下車より20m戻る。(電)03・3881・2637。カウンター10席、アガリ12席。営業時間午後1時〜10時。年中無休。

取材メモ  注:記事内容は取材時のものです。現時点で価格・営業時間・経営内容等変更がある場合があることをご了承下さい。

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