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東京新聞朝刊1997年7月31日 ゆめぽっけ「味探検」江戸前シリーズ・27回

横浜馬車道「浜志゛まん」(はまじまん)hamajiman

アイスモナカは文明開化の味

 アイスクリームの起源をたどると、マルコボーロとフビライの名がちらつく。
 現代風アイスクリーム誕生は、16世紀中ごろのイタリアでの人工冷却法の発明がきっかけらしい。しかし、中国には古くから「氷酪(ひょうらく)」という乳製氷菓子があり、製法は宮廷の秘法とされて・きた。
 一方、古代ヨーロッパにもワインベースの色鮮やかな冷たい飲み物があり、 「シャルバート」と呼ばれたという話が伝わっている。アラビアンナイトにも,同じような飲み物のことが記述されている。そして、フビライの時代に「摂里白(せつりはく)」という薬効飲料があったことが知られているが、これこそがシャルバートだとされている。
 元都を訪れたマルコポーロは、自国と同じ飲み物があることに驚き、「氷酪」の製法を聞いたとする説がある。 こんな東西氷菓子交流話。夏の宵に想像するのも楽しくなる。
 日本で初めてアイスクリームを売り出したのは、町田房造という横浜・馬車道通りの氷屋さんだった。明治2年のことである。この冷たくておいしくて夢の中から飛び出してきたような冷菓は、またたくまに全国に広がり、大ヒット商品になった。
 町田氷店は既にないが、馬車道の歩道脇にアイスクリーム発祥の地の女性のブロンズ像が設置されている。この近くに、大正2年創業の最中菓子屋さん「浜志゛まん」があり、発祥地の名物アイスクリーム売りを引き継いでいる。
 店の自慢は、特製最中を使ったアイスモナ力(バニラ、小倉など6種類、1個180円〉。「多い日は一千個出る。文明開化の『アイスクリン』の味がしますよ」と若主人、市村信一郎さんが笑って話してくれた。(中島満)

浜志゛まんメモ

横浜市中区常盤町5ノ63。JR関内駅北口下車,線路沿いに横浜方向に歩き馬車道を右折,20m先左手。徒歩5分。電話045・651・4451。ビル1階アイスクリームシヨップあり(取材後ビルが建てなおされているので様子は変わっているかもしれない)。営業時間朝9時〜午後9時,土曜のみ朝10時から。定休・日曜。

注:記事内容は取材時のものです。現時点で価格・営業時間・経営内容等変更がある場合があることをご了承下さい。

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